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ぶんぶん先生コラム 犬は知的にしつける(木曜更新)

西川文二
1957年生まれ
出身地 :東京都

ぶんぶん先生コラム 犬は知的にしつける vol.93


保健所への恨み?

元厚生事務次官が殺傷された事件世の中を賑わわせています。
被害に遭われた方には心からお悔やみを申し上げます。報道によると取り調べで容疑者は、その殺害の動機を 34 年前に容疑者の可愛がっていた犬が保険所で殺されたことにある、と語っているということ。
34 年前のでき事を、それほどまでに根に持っている者だろうか?といった論評を数多く目にしましたが、私がこの事件で気になることは別にあります。


■ 犬の死を心から悲しむような優しい子どもだった

私が気になるところは父親の言動です。そして、誰もそれに対しての言及をしないことです。
父親によると飼っていた犬が死んだときには本当に悲しんで、とても心の優しい子だったということ。その犬は容疑者が3歳ぐらいから小学2年か3年まで飼っていた白い犬で、病気で死んだということです。子犬から飼い始めているのであれば、7〜8歳で亡くなった計算になります。30数年前、それも外飼いであれば、それなりの年齢で亡くなったと言えます。

容疑者はおそらく、父親の言うとおりその時点まで心の優しい子だったのでしょう。しかし問題となるのはその後です。


■ 犬は吠えて当たり前、34年前はそれが当たり前では?

白い犬が亡くなった後に、家族は家に来る茶色い野良犬を飼うようになったそうです。しかし、その犬は自営のお店のお客さんや周囲の人によくほえたそうです。よく吠える、それを理由にその茶色い犬は、保健所に処分されることになります。34年前のことだそうです。

気になるのは3点。

容疑者の実家は山口県です。34年前と言えば1974年。当時私の実家では10匹以上の犬がいました。ほとんどの犬は母家とは別の犬舎にいました。世話をしに犬舎に入ると全員が興奮してほえたてたものです。実家は東京の中野区の住宅地にありますが、それが苦情になったことはありません。

番犬が主体の時代。犬は吠えて当たり前というコンセンサスが会った時代です。東京の住宅地でもそんな感じだった時代に、山口で吠えるからという理由で殺処分するものだろうか?気になる第1点はここにあります。


■ 可愛がっている犬を知らない間に処分されたら

もう一つ気になる点は、父親は容疑者が学校に行っている間に、子どもに相談もせずに保健所に連れていった所です。

計算上容疑者は当時12歳です。12歳の子どもであれば、自分の知らない間にそんなことをされれば深く傷つくに間違いありません。保健所で犬が殺されたという理由で34年もそれを恨みに持ち、おかどちがいとも言える元厚生事務次官を襲撃するという行動はどう考えても理解できません。しかし、親が自分が学校に行っている間に、可愛がっている犬を保健所に連れて行き殺させた、それを気に親に恨みを抱くことは想像できます。

それも時代から言って、殺さなくてはいけない吠えだったのか?
なぜこの点をマスコミは取り上げないのかとても気になるのです。
そしてもう一つ気になる点は、この親がそうした話を何の後ろめたさを持たずに語っている点です。


■ 父親への恨みの転嫁行動と言えないか

容疑者は、本当は父親に恨みを持っているのではないか。しかし、それを潜在意識の中に閉じこめているのではないか?
容疑者は父親も愛しているのでしょう。父親を愛しているが故に、本来は父親に対してはらすべき恨みを心の闇に閉じこめざるを得ない。しかしそれはまやかしにすぎない。恨みのエネルギーは亡くなったわけではありません。そのエネルギーは、心の闇から突き上げるように容疑者を突き動かそうとしたのでしょう。

そして、その恨みのエネルギーの矛先は保健所へ向けられた、そう考えるのが自然なのではないでしょうか?
もちろん、だからといってなぜその具体的な行動の矛先が、元厚生事務次官に向かうかは理解はできません。



そう、この事件は理解できないことだらけなのです。
しかし、その中で唯一理解できるのは、可愛がっている犬を自分の知らない間に保健所に連れて行き殺処分をされた子どもが深く傷つくであろうと言うこと。
動物への適正な触れあいが人間らしい健全な心の発育をもたらす(コラム27を参照)、と私は考えていますが、それが必要だったのは容疑者の親だったのではないでしょうか?

次回木曜日に続く

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